真行草 - その2

2018.04.15 日曜日

あるセミナーでお伺いしたことがあります。

 

「真行草という言葉で何を思い浮かべられますか?」

 

  「お辞儀」

 

他の皆様も同様、
礼法のお辞儀を一番先に思い浮かべられました。

 

 

ちなみに学校でも同様の質問をすると、全員答えます。

 

  「何それ? そんなの聞いたことが無い~! 」

 

20歳前後の学生は、残念ながら言葉さえも知らないのが実情です。

 

 

もともと「書」の楷書・行書・草書からきている真行草。

中国の漢字から形を変え、日本独自の発展をしたひらがな、カタカナ。

 

書の師曰く、ひらがなは草書を崩し、カタカナは楷書を略してきたので、
ひらがなは連綿ができても、カタカナは出来ないのだそう。

 

 

書で発展した形態・習得する過程での稽古・その精神の三つを大切に、

日本の伝統芸能として

空間  … 茶室・伝統的和室・庭・絵画など

寄合  … 花・茶・連歌など

舞台  … 能・狂言など

 

それぞれの分野で解釈肉付けをされ、真行草が今にいきづいています。

 

書院の茶室が真、草案茶室が草と大きく分けられていますが、
はっきりと分類できない茶室も数多く、
一筋縄ではいかない面白さ奥深さがあります。

 

 

草庵茶室の中で取り上げられることの多い「天井真行草」を少しご紹介。

表千家不審菴,神戸,設計事務所

表千家不審菴 床と火灯口

 

表千家不審菴,神戸,設計事務所

表千家不審菴 客座から点前座を見る

 

 

 

表千家不審菴の天井は、

床を背にしたお正客の座る位置の平天井が真

亭主の座る手前座の落天井が草(同じ平天井だが一段下がって格を下げている)

お詰めが座るであろう位置の掛込天井が行

 

 

三畳台目の草の茶室、この小さな空間の中にも3つの天井の形、
天井の真行草がある。

 

亭主の心と一服の茶。

花や軸、道具、それらの取り合わせは数知れず、
空間とも共鳴して、おもてなしの一時をつくる。

 

お茶室に訪れられたとき、
天井を見上げてみて下さい。

 

真行草を見つけられるかもしれません。