真行草 – その3
2018.04.21 土曜日
和室のある家が少なくなり、床(床の間)がある家はもっと少なくなっています。
でも、「床」が暮らしの中で身近でなくなってきているのは、やはり淋しい。
空間の大きさであったり、必要性であったり、暮らし方であったり、様々なことが影響しているのですが、せめてその精神は繋いでいきたいと感じます。
床(床の間)にも真行草があります。
真 本床といわれ、書院の床として最も格式の高いもの
角の床柱・紋縁の畳床・黒塗りの床框・書院・違い棚・長押などで構成
行 本床を崩し、または略したもの
床柱が丸柱は行、 床脇(書院 違い棚など)が略されたものなど
草 草案茶室の床の間 それに準じた和室の格式張らない床
自然木を多く使う場合が多い
*行草は線引きが難しいところがある
床(床の間)は、
もともとは禅宗で仏画を鑑賞する前に三具足(花瓶、香炉、燭台)を卓子に置いた座敷飾りが、
時代と共に形を変え建築化されていったもの。
権力を象徴する装飾の場であったり、
客をもてなす精神性を表現する場であったり、時代時代。
「床」が無くなってきている現代でも、日本には「しつらえ」「見立て」という文化があります。
一つの空間を季節に応じて、場面に応じて変えていく。
お正月やお節句、お友達が来られるとき、ご自身にゆとりを持たせたいとき、玄関やリビングの一角に「床」をしつらえる。
低い家具や板を置いて、花や軸を飾ると「置床」に
この場所を「床」と見立て、軸を掛ければ「壁床」に
家具を動かしてしつらえを変え、花を生け絵や軸を飾って「床」をつくってみると、
草の草の「床」でも、視線や雰囲気もかわり、
いつもとは違った小さな非日常、気持ちの変化を感じられます。
暮らしに生かしていきたい、真行草 です。