エジプト紀行4
2007.03.17 土曜日
4日目はアスワンからアブシンベルへ。
岩を切り崩して作られてたアブシンベル神殿は、 古代エジプト第19王朝のファラオ ラムセス二世によって建立されたもの。
現存するものは、アスワンハイダム建設の時湖底に沈むことが解り、ユネスコの国際的救済活動のもと、岩をブロックに切断する方法で1964年から1968年にわたって本来の位置から200m離れた位置64m上方の丘に移築したものです。
移築時にはコンクリートで人工の岩山をつくり岩ブロックで覆うかたちとし、換気設備なども備えながら再現している。3000年以上前につくった人たちも素晴らしいけれど、移築する現代の人たちのエネルギーも素晴らしいですね。
アブシンベル神殿には大小2つの神殿があり、大神殿は太陽の神ラーを奉り、小神殿はハトホル女神をまつり、妻ネフェルタリ王妃のために建立されたものです。
大神殿入り口から65m、一番奥にある小さな部屋至聖所には4体の像がベンチに腰掛けている。ハルマキス、神格化されたラムセス二世、アモン・ラー、バター神。
1年のうち、10月20日と2月22日の2日だけ、朝日が東から西へ真直ぐに差し込み、これら4体の像のなかでラムセス二世、アモン・ラー、ハルマキスを照らしだす神秘がある。暗闇の神バター神には光はあたらないのです。
エジプトの神殿の入り口は東が基本。これは朝日がファラオの顔を照らし出すように。
それに対してゴシック教会の入り口は西が基本、これは信者の祈りの向こうに日が昇るかたち。
建築には色々な意味が含まれるので、それらを見ていくのは面白いですね。
小神殿は、ラムセス二世の美妻、ネフェルタリ王妃のため、愛と美の女神であるハトホルをたたえて造られたもの。
40人以上の側室、200人以上(色々な説がありますが)の子どもをもうけたラムセス二世も、第一王妃ネフェルタリは特別な存在だったよう。
ちなみの現在のエジプトでは奥さまは4人までらしい。ただ色々な力が必要なので、ガイドのターリックさんは一人で精一杯とおっしゃっていました。
日没から始まる音と光のショーの前に、もう一度人の少なくなった大神殿をゆっくり見たいと中へ。
静かに対話をするように丁寧に見ていくのは楽しい。
とすると、突然電気が消され真っ暗闇。
「すみませ~ん、電気消さないでくださ~い」と叫ぶも返事はなし。
どうしよう?このまま朝まで?
壁づてにそろそろ歩き、ようやく入り口からの一筋の光が。思わず走って扉の外へでる。あ~ビックリ。
ラムセス二世のいけにえにされるのかと思いました。
とんだハプニングの緊張の後、楽しんだ「音と光のショー」はさすがに素晴らしい。
神殿をスクリーンにレーザー光線で映し出される映像と、開放された空間なのに音響効果の素晴らしいこと。ここでもスケールの違いと体感する空間の贅沢さに感動です。