ユカ座とイス座 ~暮らしの視点~

2011.12.12 月曜日

大学や専門職の人以外に、年に何度か一般の人にセミナーをさせていただく機会があり、
最後に時間の許す限り、日頃悩んでおられることの質問をお受けしています。

 

3回のインテリア講座が終わった後、口火を切られたのは、60代のマダムでした。

 

「いつもどうしたら良いのかと本当に悩んでいるんです。」

 

「私たちの年代になると、ソファにきちんと座るのがしんどくて、
ソファを背もたれにして結局床に座っているんです。
もう、ゆっくりゴロゴロしたい。

 

まわりに人に聞いてもみんな同じで、
リビングにソファがないと、人が来られたとき格好が悪いからあるんですけれど、使わなくて…

 

広~いリビングのお家でも、リビングではなく結局狭い部屋に居るんです。

低いソファで、心地良いものってどうしたら良いのでしょう…?」

 

 

ソファセットが置いてあっても、
冬になるとセンターテーブルの変わりに「コタツ」が出現するのも、日本の冬の風物詩?

 

年代によって違いはありますが、一端「コタツ」が出現すると、その威力は絶大です。

 

もともと、日本人は靴を脱いで床に座って暮らす「ユカ座」文化。
西洋の「イス座」文化が入ってきて何年経っても、靴を脱ぐ生活様式が続く限りそのDNAはいきづいています。

 

「冬だけでなく年中床に座っていたい」

 

そう思われるようであれば、ご自身のライフスタイルと生活様式があっていないので、
もう一度インテリア全体を見直す必要がありそうです。

 

住まいはお客様のためではなく、毎日そこで暮らしている人のためのもの。
自分スタイルの間取りは? 家具は? 動線は?

 

暮らしが楽しく、住む人が生き生きと、その空間が生かされてこその住まいです。

 

「床に暮らす」ことを選ばれたなら

例えば小上がり畳コーナー をつくったり、デザインの良い床座用ソファに変えたり。

 

床に座ることで視線の位置が低くなると、ものの見え方も変わってくるので、
窓の高さや位置、家具の高さ、照明の位置、天井高さの感じ方など空間の重心が低くなります。

 

視線の位置が変わるだけで、同じ部屋でもまったく違って見えてくるのです。

小上がり畳コーナー 神戸 設計事務所

新築やリフォームを考えるとき、
リビングにはソファがあるものと固定概念で考えるのではなく、

 

自分はどう暮らしたいのか…?    何が心地よいのか…?

 

こんな「暮らしの視点」で立体的に考えてみると、
新しい自分スタイルが見つかるかもしれません。