彫刻が語りかけるもの
2013.02.05 火曜日
自宅から事務所に歩く道すがら、毎日出会う彫刻達。
風景の中に溶け込んで意識することも少なくなっていたけれど、
事務所を六甲アイランドに移転し毎日通うようになると、改めて立ち止まって眺めています。
海からのメッセージ 河合隆三 1990
海へのメッセージ 河合隆三 1991
「海からのメッセージ」 「海へのメッセージ」
道路を隔てて向かい合っているこの対となる作品は、
六甲アイランドコンペで大賞を受賞した野外彫刻。
彫刻家のメッセージ
「海から生まれた人間が、その海をほしいままにしてきました。
再び、青く澄んだ水に、美しい虹のかかる日の来る事を僕は夢見ています。
たくさんの海を失った今、ぼくらはどんな空間を残していけるのでしょうか。」
大学時代の恩師、彫刻家河合隆三氏の作品である。
石彫はもう20年以上経っているけれど、当初と同じ愛らしい姿のまま。
毎朝、私に何かを語りかけてくれる。
先生の彫る童女は優しく愛らしい独特の表情があり、
街角にふと「あっ、ここにも河合先生の彫刻」と発見する。
大学時代は「彫塑」という科目だったけれど、かなり自由で授業前半は色々な話をして、
早めに終わって学生みんなと一緒に遊びに行っていた。
建築街並み見学と称して、ぶらぶらまちあるき。
アトリエにお邪魔しては、木彫やブロンズといった過去の作品を見せていただき、
ビールにはじめて食べた蒸かしたてのむかご、アトリエにかけてあった絹のワンピースを頂いて着て帰ったことも…
話ばかりして彫刻はあまり勉強しなかったけれど、ものづくりの姿勢を学んだ。
芸大を退官され、今もアトリエで石に向かわれているだろうか。