ある日の村野藤吾

2009.06.26 金曜日

昨日は日本建築家協会JIA住宅部会の講演会へ。

 

昨年秋発売された「ある日の村野藤吾 -建築家の日記と知人への手紙- 」の著者、写真家であり、
村野藤吾氏のお孫さん村野敦子氏の講演。

 

つま弾かれるギター音楽に合わせ、村野藤吾建築のモノクロ写真が映し出される。

村野敦子氏はコマーシャル写真の写真家。
だから、広角レンズで空間全体を捉えたものではなく、50ミリレンズで撮影。

 

建築写真としてではなく、人の目でとらえたスケールにしたかったという。

ディテールが積み重なって空間が出来上がるから、想像でイメージする世界を膨らませたいのだと。

 

死ぬ当日まで仕事をし、一生を建築に捧げた一人の建築家を、
家族でしか知らないこと、感じられないこと、色々と在りし日のことが語られた。

 

その中で、彼女が子どもの頃村野藤吾氏の建築を訪れたときの印象が心に残る。

 

「建築の床や壁や、階段や、見てさわっていると、
自分はおじいちゃんの脳みその中にいるような不思議な感覚がした」。

 

考え尽くした空間は、確かにその人のその時の自分自身であり、生き様であり、
脳みその中なのかもしれない。