京都の近代建築を訪ねて – 大丸ヴィラ

2007.07.19 木曜日

昨日、日本建築家協会(JIA )住宅部会の近代建築見学会があり京都へ。

 

今回見学した建物は大丸ヴィラと京都大学人文科学研究所付属漢字情報センター。
古い建物なので見学には人数制限があり、参加できたのは20名。

 

地下鉄丸太町から上がるとすぐにある大丸ヴィラは、旧下村(元大丸百貨店社主)邸はヴォーリズ建築設計事務所の設計による建物で、竣工は1932年。京都市登録文化財。

現在非公開ですが、今回内部も見せていただける貴重な機会を頂きました。

 

 

鉄筋コンクリート3階建のこの建物は、イギリス16世紀後期チューダー時代チューダー様式のハーフティンバー。
チューダー様式から当時「中道軒」(ちゅうどうけん)と名付けられ、通称「下村ハウス」、現在は「大丸ヴィラ」と改名されました。

 

建物妻側正面の20~30センチ角古樫ビームによるハーフティンバーが外観を特徴づけ、鉄筋コンクリート造なのですが一見木造のような暖かみを感じさせてくれます。

 

古城をあしらい、屋根瓦や壁はイギリスから取り寄せた石盤や煉瓦・石で出来ているとのこと。素材感を出す急勾配の屋根、エリザベス王朝時代の優雅なねじれ煙突が、ハーフティンバーとともに外観を特徴づけています。

 

建築当初低かった煉瓦積塀は現在高い木製塀となり、通りからはフォルムが見えにくくなっているのが残念ですが、その分「中はどうなっているのだろう?」という期待感が高まります。

 

今回見せていただいた内部は、1階玄関・ホール・談話室・サンルームとテラス。2階階段ホール、会議室。建物の残り半分は、現在お住まいのかたがおられるとのことで少しびっくりです。

 

内部で特に印象的だったのは、談話室の張り出したボウウィンドウ。

 

ステンドグラスがはめ込まれているのですが、中央の鮮やかな模様は下村氏の頭文字「S.S」と家紋の「並び鷹の羽」。
チューダー様式のインテリアに日本の家紋の絵柄は面白く、ヴォーリズの粋です。
談話室から日溜まりのサンルームそしてテラスを介して望む庭。

 

そこにはゆったりとした時間が流れ、京都のまち中であることを忘れさせてくれます。