犬と暮らす住まい
2019.02.23 土曜日
想いを込めて
生後3ヶ月で我が家にやってきたビーグル犬ラム。
大切な家族だったラムが2015年8月24日天に召されました。10歳半でした。
3歳半で重度のテンカンを発病。
毎月のように連続発作と闘いながらも、明るく精一杯生きてくれました。
ラムへのレクイエムとして、音楽ではありませんが2年前に書いていた原稿に加筆修正しコラムに掲載することにしました。
大切な家族としての愛犬と共に豊に暮らすために、ご参考にしていただければ幸いです。
2015年10月 矢代恵
犬と暮らす住まい
私の事務所がある神戸市の人工島六甲アイランドは並木道が続く海上都市で、戸建て住宅と集合住宅が建ち並んでいます。
島内にあるほとんどの集合住宅はペット共生マンション。
島の外周には遊歩道があり、朝夕犬と散歩する人がとても多く、散歩する人どうしが挨拶をかわし、立ち話をするのが日常の風景です。
島内にはリード無しで犬が自由に走り回れる大きなドッグランがあり、島外からの大型犬を連れた利用者も多く、犬どうし、飼い主どうしのコミュニケーションの場となっていて、犬と暮らすには比較的恵まれている街かもしれません。
もちろんマナーは大切。
戸建て住宅も同様ですが、特にマンションで犬と暮らすにはそれ以上に色々と気をつけなければいけないことが沢山あります。
例えば音の問題。犬の鳴き声は左右上下階にも響きます。
それぞれの住戸の中(専有部分)以外にエントランスホール、廊下やエレベーターといったみんなが使う共用部分でのマナー、犬が苦手な人やアレルギーの人への配慮などなど。
それぞれのマンション毎に、マンション管理規約「ペット飼育細則」があり、例えばペットを飼える頭数や大きさ、マナーなどのルールが決められています。
近隣の同意書、写真付きのペットデータの提出も義務づけられ、誰がどんなペットを飼っているかが解る仕組みになっています。
私が子どもの頃、犬と言えば外で飼うのが普通でしたが、今では室内犬が8割以上。
人と犬との暮らし方、関わり方も大きく変わってきました。
ラムと暮らした10年半の実感を込めて「犬と暮らす住まい」について考えてみたいと思います。
コンパニオンアニマルとしての犬
「ペット」という言葉とともに「コンパニオンアニマル」という言葉もお聞きになったことがあると思います。
「ペット」は愛玩を目的として飼育される愛玩動物を意味するのに対し、「コンパニオンアニマル」は人とより密接な関係を持つ “人生の伴侶”としての意味合いがあります。
戦後の日本と比べると、家族の形態もずいぶんと変わってきました。
ほとんどが少人数の核家族、夫婦2人暮らし、一人暮らしも普通になりました。
少子高齢化はますます進み、1982年から15歳未満の子ども総数は34年間減少を続けています。
ライフスタイルの変化と共に、団塊の世代は子どもが独立した後これからどう暮らしていくかを考える時期になっています。
少子化問題とともに、住まいや暮らし方を考える上で大切なデータがあります。
2003年には15歳未満の子ども総数1791万人に対し、犬猫飼育頭数約1922万頭と総数が逆転。2014年には15歳未満の子ども総数1632万人に対し、犬猫飼育頭数約2399万頭とその差は大きくなっています。2人以上の世帯で、犬を飼っているのは4世帯に1世帯です。 (15歳未満の子ども総数の出典 : 総務省統計局 / 犬猫飼育頭数の出典 : 一般社団法人ペットフード協会)
家族の形態が変化してきた現代、これからの暮らしのパートナーとして、犬を家族の一員として暮らしを見直し考えることも必用になってきています。
育てる喜び 触れあう喜び
様々な研究で、犬と暮らすことで私たちに対する良い影響も報告されています。
ストレスの多い状況で、犬を育てる喜び、共に暮らすことが人の心と体の健康維持、増進に効果をもたらしてくれています。
例えば、65歳以上の高齢者が1年間に病院に行く回数を調べた調査では、ストレスを多く感じる高齢者の1年の通院回数は、犬と暮らしていない人は暮らしている人の約1.2倍。比較的ストレスの少ない人でも、犬と暮らしていない人は暮らしている人の約1.08倍。
少し古いデータではありますが、犬を暮らすことが疾病予防に繋がるという効果が出ています。(カリフォルニア大学 シーゲルの研究 1990)
血圧や脈拍を安定させたり、寝たきりの高齢者が改善されたり、会話や笑顔がふえたり。
共に暮らすことで、安心感や責任感が生まれ、また生活にメリハリ・リズムができることで、心と体に良い影響がでているのでしょう。
高齢者だけでなく、犬との毎日の散歩は規則正しい健康的な生活習慣をつくってくれます。
私も朝は苦手ですが否応なく早起きに。朝夕の散歩が日課になると、それにあわせてスケジュールを組むようになりました。
子どもの成長にも良い効果があります。
犬を育てることで、子どもの非言語コミュニケーション能力が育ち、「相手の気持ちを察すること」「思いやり」の心が育まれていきます。 他にもリラックスや癒し効果により「向学心の向上」「集中力の向上」などが認められ、子どもの発育に貢献できています。
犬飼育者への「生活に喜びを与えてくれるもの」調査では、ペット(犬)が家族に次いで2位、80%以上の人が生活に喜びを与えてくれると答えています。 (2014一般社団法人ペットフード協会調査結果)
犬と共に過ごすことが与える良い影響は、家庭の中だけではありません。
例えばセラピードックが老人ホームや社会福祉施設を訪問したとき、動物を見たり触ったりするなかで、安らいだり元気づけられたりするポジティブな感情が生まれたりします。
日本でアニマルセラピーといわれるのはこの「動物介在活動」をさす場合が多く、神奈川県が行っている、「コンパニオンアニマル活動」もこれにあたります。
公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)が1986年からボランテイアとして、高齢者施設や病院、学校などを訪問し、動物の温もりや優しさにふれてもらう「*CAPP活動」もアニマルセラピーです。
*CAPP=Companion Animal Partnership Program(人と動物のふれあい活動)
アニマルセラピーは広義に大まかに3つ、動物介在活動・動物介在療法・動物介在教育に分けられています。日本ではまだですが、アメリカやイギリスなどでは一般診療に動物を介在させる「動物介在療法」が治療行為として公的に認められています。
犬は家庭だけでなく社会の一員として、私たちと深い関わりをもっているのですね。
ただ、忘れてはいけないことがあります。
犬が人と共に暮らすためには、子犬時代から社会化をさせ躾をし、マナーを守れるよう教育し、お互いに信頼し合える関係をつくるのは飼い主の役割。散歩したり遊んだり訓練したり、良いコミュニケーションの時間をとることは、お互いの信頼関係を築く大切な部分です。
犬の特性を理解し心を育て、犬が飼い主をリーダーとして信頼する関係があってはじめての快適な暮らし、豊かな暮らしです。
犬と暮らす住まい - ユニバーサルデザインの視点
住まいを考えるとき、多くの場合「バリアフリー」に配慮するのは、もう一般的なことになりました。「バリアフリー」とはバリアと取り除くということで、例えばつまずきやすい段差などのバリアを無くすという意味で、前提としてバリアが存在しています。
それに対して、「ユニバーサルデザイン」は、だれにでも使いやすいデザイン。
はじめからバリアがないのが前提です。このユニバーサルデザインの視点を少し大きくとらえれば、人にも一緒に暮らす犬にもやさしい住まいになります。
犬のことを優先しすぎて人が住みにくい住まいになるのは本末転倒ですが、犬の特性を理解し配慮することは、共に快適に暮らすためにとても大切なことです。
◇犬の特性
体 温 38度~39度
快適温度 18~22度(暑さに弱いためパンティング(開口呼吸)をしない温度がよい)
快適湿度 40~60%
体温調節 発汗による体温調節が出来ず、苦手
嗅 覚 人間の100万倍
聴 覚 人間の6倍 16Hz~12万Hzを聞き取る(人間20Hz~2万Hz)
視 覚 視力は弱く色の識別も苦手 暗さに強い 視角200~250度
味 覚 やや鈍感。甘いものを好む。
触 覚 皮膚や毛を触れることで精神的な落ち着き、安らぐ。鼻先、尾、ヒゲは敏感
習 性 群れをなし、家族の中にリーダーを決める
暗く囲われた狭いところを好む。なわばり意識がある。
これらは共通する犬の特性ですが、もちろん犬種による違いや個別の特性もあります。
人と同じように、それぞれの犬の個性を理解し生かし、住まいや暮らしを考えることが大切です。
日本の住まいの特徴
ヨーロッパやアメリカなど家の中で靴を履いたままのイス座文化に対し、日本は玄関で靴を脱ぎ床に座って過ごすユカ座文化です(もちろんイスにも座りますが…)。
このユカ座はイス座欧米諸国での人と犬との暮らしと違う日本の住まいの大きな特徴です。
土足で暮らす場合、床や腰壁部分はそれに対応した耐久性の高い材料になっています。
日本のように玄関で靴を脱ぐ場合、内と外がそこで分かれる場合が一般的です。
汚れを室内に持ち込まないために、犬も散歩から帰ったとき、玄関で足を洗ったり拭いたり。
素足で歩くことを考えると、足触りや床の硬さ柔らかさなど直接人が感じる身体への影響が大きく、床材にも細やかな配慮が必要になります。掃除などの点でも同様です。
機能的なことだけではなく、土間のような内と外の中間領域、人と犬の動線、視線、素材やデザインなど、犬と暮らす日本の住まいには、海外のイス座の暮らしとは違う、日本ならではの工夫が大切になります。
犬と暮らす住まいで考えておきたいこと
新築やリフォームを考える場合、心地よい我が家にするにはどうしたら良いかと色々考え迷われると思います。
住まいを取り巻く環境、住まいの大きさ、家族構成、ライフステージやライフスタイル。
人それぞれ大切にしたいところは違い、限られた条件下では我が家にとって何が大切なのか優先順位をつけて考えていくことが必用になります。 犬と暮らす住まいでは、人も犬も共に快適に暮らすために配慮すること、優先することが違ってくることもあります。
■動線
日常生活を快適に過ごすための大切な一つに、動線があります。
外と内との繋がり方や出入りの仕方、室内での動きなど、どうすれば人が機能的にスムーズに動けるのかはとても重要な要素です。 それに加えて犬と暮らす住まいでは、人の動線と同様に犬の動線も考える必要があります。 お散歩から帰ってきたとき足洗などスムーズか、回遊性(行き止まりが無くクルクル動き回れる)があるか、犬のトイレや食事スペースが動線の邪魔にならず犬と人のどちらにも良い場所になっているか。
人と犬それぞれの動線を考えると、部屋の繋がり方やドアの位置・形も違った見方を発見出来ると思います。
■視線
もう一つ大切なことは、視線です。
人の視線の高さも大人と子ども、幼児など違ってきますが、犬の視線の高さは、犬の大きさによって違いがありますが低い視線です。
床近くで暮らす犬にとって、見えるか見えないかで世界が変わります。
外の景色を見せるかどうかで窓の高さも変わり、入らせたくないところには目隠しをして見せない工夫が必要にもなります。何を見せ何を隠すかといった視線のコントロールで、犬の行動を規制したり、精神的安心感を与えたりすることができます。
ビーグル犬ラムは床まである鏡の前でよく鼻をくっつけ自分の姿を見つめていました。鏡に映る犬が自分なのかお友達なのか、もっと奥に部屋が続いているのに行けないのはどうしてか??
彼女なりに色々悩んで眺めては不安だったのか何度もマーキング。
鏡を見えなくしてからは安心して落ち着いたのか、マーキングもしなくなりました。
人と犬の視線の位置を考え、どう視線をコントロールするか、空間構成や開口部のありかたを見直してみては如何でしょうか。
■隅の効果
空間の中で人が無意識のうちに選ぶ居場所は、大きな空間であっても中央よりも壁際やコーナーの部分を好む傾向があります。レストランや喫茶店ではコーナーの席が先に埋まり、電車のロングシートは端に座る人が多いですね。 大きな空間は開放的で心地よいですが、一方狭くて小さな空間にいると安心出来るのは動物の本能です。
生態学の分野で「隅の効果」と呼ばれていますが、犬も同様に洞窟のように囲われ感のある小さな居場所が安心でき落ち着いて過ごすことが出来ます。
いつもは広いリビングで人と一緒に過ごしていても、何か不安があると逃げ込める小さな居場所は欲しいところです。
■ハード面とソフト面から考える
床で寝る時間が長い人の場合、床近くの環境が健康に及ぼすことがあります。
それと同様、犬の大きさは様々ですが、床近くで生活している犬にとっての環境は、大人の人が感じる環境より厳しい条件になってしまいます。
大気中の有害物質が下にたまりやすい空気環境は特に気をつけたいところです。
環境に配慮した床材、接着剤を含む下地材、通気や換気設備といったハード面から、掃除や暮らし方などのソフト面での配慮も必要です。
床
・ 掃除しやすい
・ 関節障害に配慮して、クッション性があり硬すぎない
・ 滑りにくい
・ タイルや石張りなど体を冷やせる箇所がある
といったことがあげられます。
住宅での代表的な床材はフローリングやカーペットがありますが、様々な種類やスタイルがあり、また表面材だけでなく下地材にも配慮が必要です。マンションの場合は音の問題も大切です。
材料にはそれぞれ利点欠点があるので、我が家は何が最も適切か比較し選定して欲しいと思います。
◇フローリング
一概にフローリングといっても色々あります。
無垢フローリング、三層フローリング、複合フローリングといった構成は何か、木の材料は何か、表面仕上げは何か。
たとえば硬さ柔らかさ。
それは樹種と表面加工(塗料)の違いが影響します。樹種にもよりますが一般的にナラ、サクラ、メープルといった広葉樹が硬くスギ、ヒノキといった針葉樹が柔らかいのですが、柔らかさはクッション性が良く足への負担が少なくなる一方傷が付きやすいという面もあります。
表面加工のしていない無垢フローリングは、インテリアのデザイン性に加えて塗料による防滑、防傷・防水・防尿・防汚性などの違いを比較して、我が家に適した塗料を選んでください。無垢フローリングでもペットに配慮した表面加工している既製品もあります。
複合フローリングでは、表面加工だけでなく一番上に張っている木の厚みも重要。
犬種にもよりますが、掘る習性や爪の影響もあるので、厚みが薄くては耐えきれず捲れてしまうこともあります。
ちなみにビーグル犬ラムはウサギ狩りの猟犬。床は掘りませんでしたが、寝床を整える意味でしょうか? 自分のベットやクッションを眠たくなるとよく掘っていました。
◇カーペット
滑りにくさやクッション性という点ではカーペットは優れています。
一番問題なのが掃除の点でしょうか。食べこぼしや粗相をしたときは、汚れがしみこむと掃除は大変です。ダニや埃を吸着しやすいのも気になります。
敷き詰めのカーペットはすっきりと見えて綺麗ですが、外して洗うことが出来ないので掃除にも限界があります。
カーペットなら毛足が短めのタイルカーペットがおすすめですが、ペット対応として商品化されているものは、残念ながらデザインバリエーションが多くありません。
空間の雰囲気を考えながら、比較的手入れがしやすい防汚性があり、防ダニ加工、手洗い可能のものを選ぶのもひとつです。
◇コルクタイル
保育園や幼稚園で使われることも多いものに自然素材のコルクがあります。
強化ウレタンやセラミック塗装の表面加工したものは、、手入れは簡単で、足触りが良くクッション性もあり、滑りにくい材料です。
タイルタイプとフローリングタイプがありますが、雰囲気と部分的な張り替えのことを考え選択を。厚みは4mm以上をおすすめします。
◇リノリュウム
最近見直されてきたのがリノリュウム。天然素材のシート床材で亜麻仁油が含まれているため抗菌効果が高く、耐摩耗性・適度なクッション性があります。
◇タイル・石
硬さや冷たさがあるため、リビングなど床全面となると好みが分かれるところだと思います。冬場の冷たさは床暖房と併用すると解決でき、掃除がしやすいのは利点です。犬のためなら、一部に取り入れるのも夏に寝転び涼を得るには効果的です。
◇その他
マンションでは下階への音の配慮が不可欠です。
マンション毎に管理規約で例えば「LL-45の床材以上の遮音レベルとする」といったルールがあります。人によって音の感じ方は様々ですが、トラブルを避けるためルールよりワンランク上の対策をするくらいでも良いかもしれません。
床暖房を設置する場合、輻射熱で部屋全体をあたため空気を汚さず犬にとっても快適ですが、低い位置で暮らす犬には人よりも影響が大きいため、低温ヤケドや温度管理に気をつけ、部分的に温度切り替え出来るなど、犬が居場所を移動できる工夫も必要です。
壁
呼吸する壁といわれるように、珪藻土や漆喰など調湿機能、消臭機能のある塗り壁の家も増えてきました。火山灰シラスや化石珊瑚といった自然素材の塗り壁も効果的です。
板張りも調湿機能があり、木ならではの人を和ませる効果があります。
一般的に多く使われているビニルクロスでも、機能クロスといって、防傷・防汚・消臭機能を備えたペット対応壁紙、 下地材もシックハウス対策を考えたホルムアルデヒド吸着分解効果のあるものもあります。 例えばクロスと組み合わせて、壁一面だけに消臭機能のある機能壁材を張ったり腰板張りを取り入れたり、デザインと機能のバランスを考えながら、総合的に考えてみてください。
バルコニー
バルコニーに犬が出る場合、転落防止対策は必要です。 好奇心旺盛で外が気になる犬は、柵から頭を出して外を見ることもあります。
バルコニーの柵については、子どもが転落しないように法律で規制がありますが、子犬や小型犬は落ちてしまう可能性があります。頭が出る隙間は対策を考えてください。
マンションによっては、バルコニーでブラッシングは禁止、犬が出ることを禁止しているところもあります。臭いや毛、吠える声など近隣とのトラブルが起こらないよう注意が必要です。換気や夏の暑さ対策と相反する部分です。
植物
犬の食事について、何を食べさたら危険か日頃から気にされていると思います。
でも、庭やバルコニーの植物、室内の観葉植物などには気をつけるのがおろそかになりがちです。
犬は自分で植物が危険かどうかを嗅ぎ分ける力を持っていると言われていますが、 人の好みや美しさだけで木や花を植えるのでは無く、犬への危険を避けるために、きちんと植物の影響を調べてからどこに何を植えるのかを決める配慮も必用になります。
この表以外にもたくさんの危険な植物があります。
木や花をえらぶ時には、危険が無い植物なのか気にかけて調べてみてください。
空調・換気
風通しが良い家が心地よいのは人も犬も同じです。 ただ、犬のいる高さは低いので、人には良くても床近くの風通しが良いとは限りません。 空気が滞留すると、臭いも大気中の有害物質も床近くにたまる可能性があります。 低い位置の空気はどうかをチェックし、部屋全体の空気を循環させたり、換気扇や空気清浄機を使ったりなど気配りも必要です。
暑さ対策
暑さに弱い犬のために、特に夏場は注意が必要。
風通しが良いから大丈夫と思っても、室内の温度が30℃を超えるようでは、汗腺が肉球にしか無く汗をかけない犬は熱中症になる危険性が高くなります。特に暑くなる窓際にハウスを置くのは避けなければいけません。
留守番をさせる場合は、様子がおかしくなってもすぐ対応ができないので、クーラーも必要。
風通しを良くしているから大丈夫と思って仕事に出かけたら、帰宅すると犬が熱中症で亡くなっていたという知人もいます。
確かに犬だけのためにクーラーをつけるのは、贅沢な気がして電気代が気になるところ。
電気代の対策として、遮熱ガラスや熱線反射フィルムをガラスに張る、遮熱カーテンやヨシズなどを活用するのも有効です。クールベットなどの犬用クールグッズもたくさんあるので、工夫して対策をたてたいものです。
我が家スタイルを見つける
犬のことを考える余り、過度に神経質になり過ぎて人が暮らしにくくなってしまうのでは、共に楽しく暮らす住まいとは言えません。
あくまでも、住まいとして人が心地よく暮らし、配慮や工夫で犬も快適に暮らせる美しいデザインが、ユニバーサルデザインになると私は考えています。
住まいの条件や環境、犬種や大きさ・性格によって、共に快適に暮らす工夫はケースバイケースですが、チェックする箇所を下記にまとめてみました。
我が家の場合、何を優先して取り入れたらよいかを見直してみてください。
・ 人と犬、両方の動線・視線を考える。
・ 玄関・勝手口まわりに、足洗い場を設ける。
・ リードをつなぐフックを玄関まわり、リビング、洗面所、浴室などにつける。
・ 台所や階段など入らせたくない場所に、機能・デザインに工夫したゲートを設ける。
・ 出入りのための犬用ドア、網戸用出入り口をつける。
・ コード類が絡まらないように、コンセントの位置や高さ、カバーなどを考える。
・ 階段は緩やかに滑りにくい工夫をし、手摺は落下防止を考える。
・ ブラッシングは毛が飛び散らないよう囲われた場所でする。
・ 内装材料だけでなく、家具の材料や接着剤などもシックハウス対策があるか確認する。
・ 玄関や勝手口、浴室とつながる土間空間があれば便利。
これらは子どもや高齢者、だれにでもやさしいユニバーサルデザインの視点にたって考えればほとんどカバーできます。 ただ、飼い主との距離感やルールを守るという点で、住まいの工夫以前に躾は大切です。
その前提を踏まえて、犬種の特性、我が家の愛犬の個性を良くみつめ理解し、
「犬と暮らす住まい」の我が家スタイルを見つけて頂きたいと思います。
ラムが天に召され暫くして、まだ迷いはあったのですが保護犬の里親になりました。
新しく我が家に迎えたのはラムの娘のようなビーグル犬2歳、サリーと名前をつけました。
六甲山荘では、元気でお転婆な「犬との暮らし」がまた始まりました。
サリーが4歳になりすっかり六甲山荘の住犬になったので、新たに保護犬を迎えました。
サリーよりお姉さんの8歳ビーグル犬、ランと名前をつけました。
お転婆ですが繊細な先住犬サリーと比べ、多頭飼いで育ったランはちょっと出しゃばりの甘え上手。同じビーグル犬でも随分性格は違います。
上位が決まらないまま1年が過ぎ、試行錯誤しながらも豊かな「犬との暮らし」は続きます。