囲われ閉ざされゆく宿命の キュービクル
それは 電子回路にはめ込まれた
一つのサイコロ
光井戸の陽だまりは
過去の記憶と 家族の未来をつなぎ
空に向かって 光に向かって
スパイラルにのびる
上へ 上へ
さて どんなサイの目がでるか
それは これからのお楽しみ
神戸長田の震災復興の区画整理地区にこの建物は位置する。
店舗併用住宅であるこの建物は、震災後の区画整理地区にはめ込まれた一つのサイコロ、地域へ発信するキュービクルをイメージしている。
お互い仕事を持つ50代の夫婦が、退職後coffee shopをしながら、趣味のバイクやオーディオを楽しみ、人が集まる場として、快適に暮らせることが希望だった。
道路面以外の3方向は他の建物で囲われるため、光や風の確保とプライバシーの確保が求められた。
建物の南面に、1階から屋上まで抜ける光庭を設けて、空からの光と風を室内に取り込み、 光庭にアルミルーバーを設けることで、外側からの視線を遮り、内側からの視線が抜けるかたちとしている。
リビングの朝日を取り込む高窓、光庭、時間や季節によって陽光のつくる光と影が空間に表情を与える。
勾配天井による垂直の広がり、リビングから床続きでデッキテラスへ延びる水平の広がり。3階デッキテラスから屋上にあがる廻り階段は、空に延び、垂直に広がりを展開する。屋上は仲間で集まり語らう場、夏の花火を楽しむ舞台にもなる。
外部空間と内部空間を一体的に捉え、光と風を室内に取り込みながらプライバシーを確保をする、都市型住宅である。
RC造地上3F
神戸市長田区
敷地面積 110.13㎡
建築面積 88.37㎡
延床面積 233.68㎡