扉を開ける
遠い昔
路地の向こうに聞こえたカンケリの音
とおり過ぎる風に
チリンと一つ風鈴の音
かすかに薫るきょうちくとうの匂い
新しい匂いの中に
懐かしい"思い"を 見出す
いつかどこかで出会った風景
時代は流れ 時代は変わる
振り返ると
降り注ぐ陽光に
照らし出された傷跡に
自分の 家族の そしてこの家の
刻まれてきた想い出が宿る
ああ こんなこともあったなと ふとほくそ笑む
そんなやさしい 記憶の棲む家
計画敷地面積は比較的大きいが、京都の特徴である、間口が狭く奥行きが深い「うなぎの寝床」の敷地を想定している。
家族想定は40代前半の夫婦、中学生、小学生の子ども2人、60代の祖母という3世代構成。
建物内に中庭を設けるかわりに、3層の屋外デッキを設け内部と外部を一体化し、広がりのある多目的空間を提案している。
3階デッキに開けた 丸い穴をからさし込む光は、2階デッキのグレーチングを通し、1階デッキへまで届く。1階デッキは 井戸端会議が楽しめるような縁側のような親しみのある空間を意図している。 建築全体として光と風を内部に取り込み、水平垂直に広がりを感じる開放的な空間をつくっている。
京都の地域性を背景とした物語性のある、今にも住まい手の声が聞こえてきそうな住まい。 モデルハウスではあるが、その中に住まい手に語りかけ、狭小間口の敷地にも場面に応じた何かを提案できるものを目指した。
木造地上3F
京都市左京区
建築面積 94.05㎡
延床面積 222.12㎡